帆布は、綿や麻や亜麻の細い糸を何本か撚り合わせて平織りした厚手の布で、古くはズックと呼ばれることもありました。
複数の糸を撚り合わせ、たて糸とよこ糸を1本ずつ交互に上下させて織るため交差する点が多く、丈夫で耐久性や通気性にも優れており、吸湿性もあるので湿度が上がっても素早く吸い取り気化してくれるので中の物が蒸れません。
また、静電気を起こしにくい素材でもあり、電気工事の人たちが使っている工具袋など現代でも様々な用途で使われています。
丈夫で長持ち、使い込むに程に生地の硬さは徐々に和らいで、風合いの変化も帆布の持ち味です。
帆布(はんぷ)の起源
古代エジプトで亜麻帆布が作られ、船の「帆」として使用されたのが始まりと言われており、耐久性に優れた布は「ミイラの巻き布」にも使われていたそうです。
新型帆布「松右衛門帆」の誕生
日本では江戸時代末期に、兵庫(現在の神戸市兵庫区)で廻船業を経営していた工楽松右衛門がより速い船を作るために「松右衛門帆」を発明しました。
それまでの和船の帆は、ムシロで作った物や「刺帆」と呼ばれる綿布を2~3枚重ねてつなぎ縫いをしたものが主流で、製造に手間がかかる割に耐久性が低かったので、新型帆布「松右衛門帆」はすぐに全国に普及し、北前船をはじめとする大型和船の航海術を飛躍的に向上させました。
近代においての帆布
明治時代には、鉄道貨物のシートやテント、酒や醤油造りの際に使用するコシ布、職人の道具袋、牛乳配達袋、氷袋、一升瓶入、学生のカバンなど、色々な産業や生活資材として重宝されてきました。
昭和40年代頃からは化学繊維やポリエステル帆布が使われるようになり、昭和50年頃にはトラックや貨物列車は、アルミボディーなどを使用するようになり、綿帆布は減少傾向になります。
現在においての帆布
現在ではトートバッグに代表されるようなカバンや、スニーカーやデッキシューズなどの靴、襦袢などの衿芯、着物の帯の帯芯、相撲の廻し、油絵用のキャンバス、テントの天幕など建築材料、各種幌、競走馬用のゼッケンなどにも使用されています。
帆布の号数(厚さ)について
帆布には、一般的に0号から11号までの号数があります。
号数が小さくなるほど生地が厚くなり、号数が大きくなるほど生地は薄くなります。
家庭用のミシンで縫える号数は?
よく「家庭用のミシンで縫える号数は?」という質問を受けることがあります。
使用される家庭用ミシンによるので一概には言えませんが、一般的には10号・11号帆布程度なら問題なく縫えるかと思います。
また、針や糸を厚手に使用できる物に変更することで8号帆布なら何とか縫える範囲だと思います。(重ねる部分にもよります)
詳しくは、ご使用のミシンメーカー様にお問い合わせください。